環境省は19日、東京電力福島第一原発事故後に福島県内を除染して出た土(除染土)約2立方メートルを首相官邸に搬入した。庭に埋め、通常の土で覆ったうえで園芸用の草を植える。工事は20日に終わる予定。公共事業などに除染土を使う再生利用の一環で、福島県外での利用は初めて。官邸で使うことで国民の理解を広げ、再生利用を本格化させる狙いがある。
福島第一原発周辺に広がる中間貯蔵施設では約1410万立方メートルの除染土を保管。政府は地元に対して、2045年3月までに福島県外で最終処分すると約束し、放射性物質の濃度が1キロあたり8千ベクレル以下の土を再生利用するとしてきた。今回使う土は同6400ベクレルという。
環境省のガイドラインでは、再生利用をする場所では工事中は週1回以上、工事後は年1回以上、空間放射線量を測るよう求めている。今回は国民の理解を広げることが目的のため、環境省は当面、週1回放射線量を測り、官邸内やウェブサイトで公表するという。